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心配で近くの耳鼻科医の何ヵ所かに通いました。でもどこの病院でも、「外からはわからない。男の子だから言葉が出るのが遅いのでしよう」と一言われました。
でも不安なので、大学病院へ連れて行き、半年もかかってようやく結果を知らされました。「高熱だと思うが、耳の神経が冒されて聞こえなくなっている」と言われました。
私は頭の中が真っ白になって、何がなんだかわからなくなってしまいました。でも私は、「少しは聞こえているのではないか」と思ったりして、いろいろと病院を連れて回り、東京の小児病院にも診てもらいましたがみな同じ結果でした。
そして、ろう学校をすすめられたので、子供のためにはその方がよいと考え、県立一関ろう学校の寄宿舎へ四歳で入舎させました。本人は何もわからないまま連れてこられて毎日、泣いていたそうです。
土曜日に迎えに行って、月曜日は送って行きました。あるときは布団の中で泣き、布団にしがみついて離れないこともありましたが、私は心を鬼にして連れて行きました。
小学部の一年生に上がってからです。周りの方々、学校や寄宿舎の先生のお蔭で、やっと自分の子供に、「おかあさん」と言われました。それまでいろいろあったことは、すっかり忘れるほど嬉しかったです。
それからは息子に、早くたくさんの言葉を覚えてもらいたいと思い、努力しました。私はどうしても、同じ年ごろの子供と較べてしまうのです。でも息子は自分のペースで進みます。そこで私も、「息子はこれもできた、あれもできるようになった」といつも前向きにみるよう努力

 

 

 

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